千年の時を超えて心安らぐ薬師如来の微笑み

上宇内薬師は、会津五薬師の一つとして知られ、地域住民によって大切に守られてきました。
会津五薬師とは、会津地方にある薬師如来を本尊とする以下の5つの寺院の総称であり、これらの寺院はいずれも平安時代の僧・徳一によって創建されたと伝えられています。
中央薬師:勝常寺(福島県湯川村)
東方薬師:慧日寺(福島県磐梯町)
西方薬師:上宇内薬師堂(福島県会津坂下町)
北方薬師:北山薬師(福島県北塩原村)
南方薬師:野寺薬師(福島県会津若松市)

これらの寺院は、地域の人々の無病息災や心身堅固、五穀豊穣を祈願するために建立されました。ただし、薬師如来像が現存しているのは勝常寺と上宇内薬師堂のみで、勝常寺の像は国宝、上宇内薬師堂の像は国の重要文化財に指定されており、上宇内薬師堂の薬師如来像はその堂々とした体躯と優しげな表情が訪れる人々を魅了します。

上宇内薬師堂は、元禄4年に道安によって現在の場所に再建・再興されました。堂内には、薬師如来像の他に日光・月光菩薩立像、聖観音像菩薩立像、十二神将五躯が安置されています。これらの仏像は、彫刻の所々に国宝の勝常寺薬師(湯川村)の流れが見受けられ、その迫力と美しさには圧倒されます。