仁王門から東海道五十三次にならった53段の石段を上がると、成田山のシンボルである大本堂が現れます。その手前右側に立つのが1712年に建立された三重塔です。
基調となる朱色をはじめとして、種々の鮮やかな色を用いた非常に美しいこの塔は、2008年(平成20年)の大開帳にあわせて漆塗りの彩色の修復が施され、創建当時のきらびやかな姿が現代によみがえりました。
朱色には防腐剤の役割と魔よけの意味がこめられています。
また、約10.6センチメートル四方の金箔が、1階部分だけで19,000枚も使われているという豪華絢爛さにも注目です。
高さは約 25m です。
三重塔は「五智三重塔」という別名の示す通り、塔内には5 つの智慧を備えているといわれる「五智如来」が安置されています。

 ※五智如来とは、大日如来を中心とし、東の阿閃如来(あしゅくにょらい)、南の宝生如来(ほうしょうにょらい)、西の阿弥陀如来(あみだにょらい)、北の不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)の5体をセットとした呼び名です。五大如来とも呼ばれ、以下に挙げる密教の五智をそれぞれそなえた如来のことです。
 ・大日如来:法界体性智(究極的実在それ自身である智)
 ・阿閃如来:大円鏡智(鏡のようにあらゆる姿を照し出す智)
 ・宝生如来:平等性智(自他の平等を体現する智)
 ・阿弥陀如来:妙観察智(あらゆるあり方を沈思熟慮する智)
 ・不空成就如来:成所作智(なすべきことをなしとげる智)

三重塔の東西南北の各面の扉の左右には十六羅漢の彫刻がはめ込まれています。

 ※十六羅漢とは、釈迦の弟子で特に優れた代表的な16人の弟子のこと

また、塔をぐるりと囲むように金色の霊獣の彫刻が施されています。


一階層は「龍」、二階層は「麒麟」、三階層は「獏」となっており、それぞれ阿形と吽形があります。
下から見上げると見事な雲水紋とのコントラストがお楽しみいただけます。