イベント情報
【相撲コラム第三弾】相撲の技(すもうのわざ)・決まり手(きまりて)

~海外からも注目の「相撲の技」と「技をくりだす力士」~
フランスからの招待を受けて2026年6月13日、14日パリ市内のアコー・アリーナで30年ぶりに「大相撲パリ公演」が開催されました。日本相撲協会の100周年と日本の歴史に根ざした1500年の伝統を祝う特別なイベントとして開催されたため注目度も高かったようです。初日・千秋楽とも15,000人収容の会場が「満員御礼」となり大盛況!会場外でも力士たちは握手や写真撮影に答えていたようです。海外、特にヨーロッパでの相撲人気はさらに高まっています。幕内(まくのうち・まくうち)力士豪華メンバーが集結し、世界に「日本の国技」の魅力を発信しました。総合優勝は大関:琴櫻。それぞれの力士が個性を発揮する中、会場の話題をさらっていったのが宇良でした。幕内トーナメント初日、安青錦との対戦の際「掬い投げ(すくいなげ)」で敗れましたが、華麗な受け身を披露し、黒星ながら驚異の身体能力で注目の的となりました。
また昨年2025年10月ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催された1991年以来34年ぶりの「大相撲ロンドン公演」での話題にも触れておきます。連日5,400人の満員の観客が熱狂しました。5日間での優勝は横綱:豊昇龍でした。そして、ダイナミックかつアクロバティックで多彩な「技(わざ)」を繰り出し、観客を魅了した力士の一人を挙げると筆頭は宇良でしょう。初日は横綱:大野里、千秋楽は安青錦(当時は小結)に負けたものの、2日目は藤ノ川を鮮やかに「腕捻り(かいなひねり)」で!3日目は湘南乃海のわきの下をくぐり後ろにもたれ込み「伝え反り(つたえぞり)」で!4日目には翠富士が張り手にきたところをタイミング良くかがんで懐に潜り込み担ぎ上げるようにして「吊り出し(つりだし)」で!3連勝。色々な技を繰り広げた宇良には、「技能賞(ぎのうしょう)※1」と「観客賞(かんきゃくしょう)※2」が送られました。現地実況が名付けた宇良の愛称は「The Magician(ザ・マジシャン→土俵の魔術師)」。ヨーロッパの2公演では「大相撲の醍醐味」を感じていただけたはずです。
2つの海外公演では、相撲の真髄である勝負だけではなく、苦しい状況でも最後の最後まで、あきらめない姿と見ごたえある「技」に注目が集まりました。今回のコラムでは、大相撲の魅力の「相撲の技」と「決まり手」を取り上げます。
※1「技能賞」・・・相撲の技能が特に優秀な力士に与えられます。決まり手の数が豊富な力士や、奇手(奇抜で意外性が強い手)を繰り出す力士が受賞する傾向が強く、この賞を与えられることは、幕内で個性派として認められる証と言われています。
※2「観客賞」・・・相撲のロンドン公演では、5日間の公演を通じて観客の評価と声を反映し、観客の支持を反映するために投票によって決定される賞です。
「決まり手」とは?
力士同士1対1の対戦で、しかけた力士によって勝ちが決まったときの「相撲の技」を「決まり手」と呼びます。勝負が決まるまでに、土俵上では力士が日頃の稽古で培った技を身体をぶつけ合い、仕掛け合い「決まり手」で決着がつく形です。

◇「四十八手」と「決まり手の数」
日本の伝統的な相撲の技の総称として室町時代から「四十八手」といわれています。呼び名と文字通りの48種類という訳ではなく、数ある技の実数を数えている訳でもなく、「たくさんの!」や「縁起の良い数」という意味で昔からそう使われている言葉です。時代によって決まり手の数は変動しています(※上記の写真は昔の技「五十六手」参照)
現在、「決まり手」は八十二手(82手)と決められていますが、その他にも五つ(5つ)の非技という勝負結果(「勇み足(いさみあし)」「腰砕け(こしくだけ)」「つき手(て)」「つき膝(ひざ)」「踏み出し(ふみだし)」)があります。
大相撲の面白さは、誰が勝つのか!ということに加え、どんな技で、どのように勝つのか!ということも興味深く、魅力にもなっています。
原則、決まり手は7手の「基本技(きほんわざ)」、13手の「投げ手(なげて)」、18手の「掛け手(かけて)」、6手の「反り手(そりて)」、19手の「捻り手(ひねりて)」、19手の「特殊技(とくしゅわざ)」の82手と、非技5つの「勝負結果」です。他には、8手の「禁じ手」といって禁止行為を行った場合および「まわし」が外れた時の反則負けもあります。この技や結果を知ることで、相撲の奥深さや礼儀の重要性をより理解でき観戦が楽しくなるはずです。
◇相撲の技(わざ)
相撲は1対1の競技。土俵の狭い限られたエリアで、相手の足の裏以外の身体の一部が地面につくか、相手を土俵外に出すかの2大原則のもとに行われます。相撲の技は、身体の各部分の力が中心となって行われます。身体を大きく分類すると「頭」「腕」「腰」「脚(足)」「背腹」の5つとなります。
①頭を中心とする技を”反り(そり)”
②腕を中心とする技を”捻り(ひねり)”
③腰を中心とする技を”投げ(なげ)”
④脚(足)を中心とする技を”掛け(かけ)”
⑤背腹のバネを中心とする技を”反り返る(そりかえる)”
以上のように5つを中心に”決まり手”が名付けられています。
◇決まり手の分類
決まり手は、以下のように分類されます。
〇基本技(7手):相撲の基本的な技(写真参照、順不同)
・「押し出し(おしだし)」まわしを取らずに、手、腰、足の力の調和をよくとり、同一方向に攻めること!相手を斜め上に押すように心がけ、押し出す際に左右いずれも指していない状態の技。

・「押し倒し(おしたおし)」上記の押し出しの要領で行い、土俵際で残そうとする相手を、押し倒す技。

・「突き出し(つきだし)」相手を突いて土俵から出す技のこと。腕の回転を速く下から上に突き上げます。特に、突進してくる相手の肩口、または胸を突きながら、運び足を使って突き出します。長身力士が、小柄な力士を相手にする場合に有効ですが、小柄な力士でも、相手の懐(ふところ)に飛び込んで接近して、回転力を生かすと長身力士を突き出すことが出来ます。

・「突き倒し(つきたおし)」上記の突き出しの要領で行います。土俵内や土俵際で、相手の足がまだ土俵外に出ないうちに突き倒した場合を突き倒しといいます。

・「寄り切り(よりきり)」相手のまわしを強く引きつけるか、差した手をかえして相手の重心を高くして土俵から出します。土俵際で相手を出すことに気を取られないように、腰をおろして上体を柔軟(力を抜く)にすることが大切!小柄な力士は、がっぷりよつになるのは避けた方が良いといわれています。

・「寄り倒し(よりたおし)」上記の寄り切りの要領で行い、相手が土俵際で踏みとどまって、抵抗しようとしたときに重心を下げ、まわしを引きつけ、倒しながら出す技です。

・「浴びせ倒し(あびせたおし)」相手が体を弓なりに反らしたり、腰がくだけて体勢が低くなったときに、自身の全体重を相手にのしかかるように預け、つぶすように倒して勝つ技のことです。

〇投げ技(13手・順不同):相手を投げる技→「上手投げ(うわてなげ)」「下手投げ(したてなげ)」「小手投げ(こてなげ)」「掬い投げ(すくいなげ)」「上手出し投げ(うわてだしなげ)」「下手出し投げ(したてだしなげ)」「腰投げ(こしなげ)」「首投げ(くびなげ)」「一本背負い(いっぽんぜおい)」「二丁投げ(にちょうなげ)」「櫓投げ(やぐらなげ)」「掛け投げ(かけなげ)」「つかみ投げ(つかみなげ)」
〇掛け手(18手・順不同):相手に掛ける技→「内掛け(うちがけ)」「外掛け(そとがけ)」「ちょん掛け(ちょんがけ)」「切り返し(きりかえし)」「河津掛け(かわづがけ)」「蹴返し(けかえし)」「蹴手繰り(けたぐり)」「三所攻め(みところぜめ)」「渡し込み(わたしこみ)」「二枚蹴り(にまいげり)」「小股掬い(こまたすくい)」「外小股(そとこまた)」「大股(おおまた)」「褄取り(つまとり)」「小妻取り(こづまとり)」「足取り(あしとり)」「裾取り(すそとり)」「裾払い(すそはらい)」
〇反り手(6手・順不同):相手を反らせる技→「居反り(いぞり)」「撞木反り(しゅもくぞり)」「掛け反り(かけぞり)」「たすき反り(たすきぞり)」「外たすき反り(そとたすきぞり)」「伝え反り(つたえぞり)」
〇捻(ひね)り手(19手・順不同):相手を捻る技→「突き落とし(つきおとし)」「巻き落とし(まきおとし)」「とったり」「逆取ったり(さかとったり)」「肩すかし(かたすかし)」「外無双(そとむそう)」「内無双(うちむそう)」「頭捻り(ずぶねり)」「上手捻り(うわてひねり)」「下手捻り(したてひねり)」「網打ち(あみうち)」「鯖折り(さばおり)」「波離間投げ(はりまなげ)」「大逆手(おおさかて)」「腕捻り(かいなひねり)」「合掌捻り(がっしょうひねり)」「徳利投げ(とっくりなげ)」「首捻り(くびひねり)」「小手捻り(こてひねり)」
〇特殊技(19手・順不同):特殊な状況で使用される技→「引き落とし(ひきおとし)」「引っ掛け(ひっかけ)」「叩き込み(はたきこみ)」「素首落とし(そくびおとし)」「吊り出し(つりだし)」「送り吊り出し(おくりつりだし)」「吊り落とし(つりおとし)」「送り吊り落とし(おくりつりおとし)」「送り出し(おくりだし)」「送り倒し(おくりたおし)」「送り投げ(おくりなげ)」「送り掛け(おくりがけ)」「送り引き落とし(おくりひきおとし)」「割り出し(わりだし)」「打っ棄り(うっちゃり)」「極め出し(きめだし)」「極め倒し(きめたおし)」「後ろもたれ(うしろもたれ)」「呼び戻し(よびもどし)」
〇非技の勝負結果(5手・順不同):対戦相手ではなく自身で身体のバランスを崩したり、手をついたり、俵の外に出てしまったりで自滅する形→「勇み足(いさみあし)」「腰砕け(こしくだけ)」「つき手(て)」「つき膝(ひざ)」「踏み出し(ふみだし)」
◇代表的な決まり手
日本相撲協会のホームページ 決まり手(決まり手八十二手 – 日本相撲協会公式サイト)の「決まり手ランキング(期間:平成二十五年一月場所~令和八年七月場所千秋楽 取組数:190,450番を元に表示しています)」では、1位が「押し出し(基本技)」、2位「寄り切り(基本技)」、3位「叩き込み(特殊技)」、4位「突き落とし」、5位「寄り倒し」…となっています。
トップ5に入った代表的な技を取り上げます(各写真参照)。
〇基本技の「押し出し(おしだし)」…両手又は片手を筈(はず:親指と他の4本の指をY字に開くこと)にして、相手の脇の下や胸に当て、土俵の外に出して勝つことを言います。(上記基本技の項目では以下のように表現しております。→まわしを取らずに、手、腰、足の力の調和をよくとり、同一方向に攻めること!相手を斜め上に押すように心がけ、押し出す際に左右いずれも指していない状態の技。)

〇基本技の「寄り切り(よりきり)」…相手に体を密着させて前か横に進んで土俵の外に出して勝つことを言います。(上記基本技の項目では以下のように表現しております→相手のまわしを強く引きつけるか、差した手をかえして相手の重心を高くして土俵から出します。土俵際で相手を出すことに気を取られないように、腰をおろして上体を柔軟・力を抜いてにすることが大切!小柄な力士は、がっぷりよつになるのは避けた方が良いといわれています。)

〇特殊技の「叩き込み(はたきこみ)」…相手が低く出てきたとき、体を開きながら片手または両手で相手の肩、背中、腕などを叩いて落として勝ちます。

○捻り技の「突き落とし(つきおとし)」…片手を相手の腋の下か脇腹にはずに当て、体を開きながら相手の重心を傾けさせ、斜め下に押さえつけるように倒して勝ちます。

○基本技の「寄り倒し(よりたおし)」…相手に体を密着させて前に寄って出ます。そして体を密着させたまま、相手に体を預け、倒して勝つことを言います。

◇決まり手以外の「禁じ手(きんじて)」と呼ばれる反則負けとは?
取り組みでは、「反則負け」となることがあります。そのことを相撲用語では「禁じ手(きんじて)」といいます。
力士の安全確保と土俵の品位維持を目的とした重要なルールがあります。禁じ手を行うとその瞬間に「反則負け」となります。判定は行司や審判委員が行ない、故意か過失かに関わらず適用される場合があり、 試合中の勝敗に直接影響します。試合後に注意や処分の対象となることもあり、力士は日頃の稽古で禁じ手を避ける技術と意識を身につけています。神事である「相撲道」に反する危険行為や品位を損なう行為はNG(NotGood)です。巡業などの初切(しょっきり)で力士たちが面白おかしく紹介もしています。地方巡業に行かれる際には、要チェックください!
○禁じ手(8手・順不同):「握り拳(にぎりこぶし)で殴(なぐ)る」「頭髪(とうはつ)・髷(まげ)をつかむ」「目または、みぞおちなどの急所を突く」「喉(のど)を強く突き攻撃する」「指を持って折り返す(指をそらせる)」「前縦褌(まえたてみつ:まわしの前垂れ部分)をつかみ、また横から指を入れて引く」「両耳を同時に両方の掌(てのひらで)張る」「胸や腹を蹴る、また倒れた相手への追い打ちなど、明らかに故意で危険な技の使用」(下記に説明有)
・「握り拳(にぎりこぶし)で殴(なぐ)る」…総合格闘技やボクシングではありませんので、握り拳(グーする)で殴る行為は禁止!
・「頭髪(とうはつ)・髷(まげ)をつかむ」…髷をつかんだり、髪を引っ張たりするのは違反行為です。特に2000年代に髷をつかむ反則行為が激増したため、2014から規則が改訂され、わざとではなくても髷をつかんだら失格ということになりました。頭をつかむのも禁止行為です!
・「目または、みぞおちなどの急所を突く」…目つぶし行為のように、人体に危害を加えて勝つのは「相撲道」に反します。反スポーツ的行為はNG!
・「喉(のど)を強く突き攻撃する」…喉を強く突いたり、首を絞めたりする行為は命にかかわりますので禁止です上記同様NG。首元を突っ張る「のど輪」という技は許されています。
・「指を持って折り返す(指をそらせる)」…指の骨は細かく繊細です。骨折の危険性が高く、上記同様NG!
・「前縦褌(まえたてみつ:まわしの前垂れ部分)をつかみ、また横から指を入れて引く」…股間への攻撃となり、上記同様NG!
・「両耳を同時に両方の掌(てのひらで)張る・叩く」…鼓膜(こまく)が破れる危険行為となりますので、上記同様NG!
・「胸や腹を蹴る、また倒れた相手への追い打ちなど、明らかに故意で危険な技の使用」…胸・腹や、倒れた相手への追い打ちキックは禁止です。上記同様NG!

※今回「技」の写真にご協力いただいた方のご紹介
上記写真右側:元宮城野部屋力士・白海竜の森本竜司さん(現在葛城市「居酒屋はっかい」経営)
左側:関西学院大学相撲部学生力士
撮影場所:相撲館「けはや座」
~色々な技を実際に本物の土俵で相撲体験しよう!~
_sizedown-1024x683.jpg)
葛城市の相撲館「けはや座」の土俵では、老若男女全ての方が土俵に上がることができます。
また、まわしや着ぐるみを身につけて、実際の力士になった気分で塩まき、相撲を体験することができます(要問い合わせ)。
~葛城市相撲館「けはや座」のご案内~
相撲の起源が感じられる場所が葛城市にあります。
大相撲の起源としては、古事記(712年)や日本書紀(720年)の中にある力くらべの神話や、宿禰(すくね)・蹶速(けはや)の天覧勝負の伝説があげられます。
葛城市には蹶速塚があります。

「野見宿禰と當麻蹶速対戦の図」のパネルが相撲館に設置してあります!
葛城市相撲館『けはや座』/葛城市 https://www.city.katsuragi.nara.jp/soshiki/sumokan/5875.html
相撲の開祖「當麻蹶速」を顕彰する目的で平成2年の5月にオープンしました。
館内には本場所と同サイズの土俵があり、小学校の遠足等によく利用されます。
展示土俵であるため自由に上がることができ、来館者に人気があります。
また、所有資料も約12,000点以上あり、書籍類をはじめ、番付や星取表なども充実しており、
学生のレポートや相撲愛好家によく利用されています。定期的に企画展なども開催中!
相撲館では、相撲グッズを販売しています。今回のコラムでも取り上げた「相撲技・決まり手」がイラストで解説されている『相撲技 取り組み八十二手(下写真参照)』が販売されています。

他にも「宇良」の名前の入ったタオルもありますよ!他の力士と違ってまわしの色で名前が入っているのも人気の秘訣!是非お求めください。
営業時間 午前10時~午後5時(休館日 毎週火曜日・水曜日)
入館料金 大人300円 子供150円
団体割引 大人250円 子供120円(20名以上)
~大相撲パリ公演にちなみ「葛城市観光プロモーション動画」フランス語バージョンを下記からご覧いただきましょう~ ※日本語や英語バージョンの他日・英・仏語でのショートバージョン映像もございます。
■参考資料
日本相撲協会公式サイト https://www.sumo.r.jp
葛城市相撲館『けはや座』/葛城市 https://www.city.katsuragi.nara.jp/soshiki/sumokan/5875.html
相撲館「けはや座」所蔵下の写真書籍:野田裕二 著 DO SPORTS!(ドゥスポーツシリーズ)『相撲~はじめて相撲を志す人のために~』野田雄二より

◆これまでの「相撲コラム」第1弾、第2弾は下記をクリックください!
【相撲コラム第一弾】大相撲の最高位「横綱」と力士の順位「番付」について – Go Katsuragi | 葛城市公式観光サイト
guidoor.jp/katsuragi-city/news/sumo-column-1-yokozuna-banzuke/
【相撲コラム第二弾】力士の番付「序ノ口(じょのくち)」から「大関(おおぜき)」まで – Go Katsuragi | 葛城市公式観光サイト
guidoor.jp/katsuragi-city/news/sumo-column-2/




