花譜、7年目の「生きろ」——KAF 5th ONE-MAN LIVE「宿声 / 深愛」レポート

花譜 5th ONE-MAN LIVE「宿声 / 深愛」公演キービジュアル(2026年3月1日・ぴあアリーナMM)
花譜 5th ONE-MAN LIVE「宿声 / 深愛」キービジュアル(©KAMITSUBAKI STUDIO)

2026年3月1日(日)、横浜・ぴあアリーナMM。前日のV.W.Pに続く「KAMITSUBAKI WARS 2026 神椿横浜決戦」DAY-2は、花譜のワンマンライブだった。

7周年を迎えたバーチャルシンガー・花譜の5thワンマン「宿声 / 深愛」。2日連続で同じ会場に立ち、2日連続で泣かされた。これはその記録であり、告白である。
(※本記事はネタバレを含みます。)

配信・アーカイブ視聴受付中 Z-aNにてアーカイブ付き配信販売中。
視聴期間は2026年4月6日(月)23:59まで。
https://www.zan-live.com/ja/live/detail/10656

初めて聴いたあの日のことを、思い出した

花譜 5th ONE-MAN LIVE「宿声 / 深愛」開演前のステージ(ぴあアリーナMM)

花譜の歌を初めて聴いたのは、2つ前のオフィスだった。私は東京に越してきてほんのしばらくで、まだここの正式なスタッフになったばかりの頃のことだ。

あの頃から、花譜の歌は私に突き刺さり続けている。今日もまた、なんの前置きもなく刺さった。

なぜなのか、ずっとうまく説明できないでいた。でも今日、この機会に言語化と向き合って、やっと少しわかった気がした。

花譜が歌うもの

花譜が歌い続けるテーマがある。生きること。価値。存在意義。生きづらさ。魂の不安。自分が本当に存在しているのかという懐疑。そして、人間の感情の、刃物のような鋭さ。

ヴァーチャルシンガーという、リアルでもなくフィクションでもない場所に立つ彼女が、そういう歌を歌い続けていることに、意味がある。

彼女の歌は、無条件の肯定を与えてくれるわけではない。「大丈夫だよ」と抱きしめてくれるわけでも、答えを教えてくれるわけでもない。傷つき、迷い、悲しみ——それでも何か尊いものを信じて、共に立って、歩んで、「生きる・生きろ」ということを、ただ歌ってくれる。

常識とされていること、建前や、無自覚な自動運転の毎日を飛び越えて、花譜の歌はやってくる。忘れていた昔の夢、なんのために生きているのかという問い。頭と心の全ての防御を貫通して、ぶん殴ってくる。

才能とセンスと時代と場所が、奇跡的に重なって生まれた花譜という存在が、今日もそれをやってのけた。

KAF 5th ONE-MAN LIVE「宿声 / 深愛」セトリ

  1. 過去を喰らう
  2. 雛鳥
  3. 心臓と絡繰
  4. 畢生よ
  5. 景色
  6. 戸惑いテレパシー
  7. 私論理
  8. それを世界と言うんだね
  9. 海に化ける
  10. 人を気取る
  11. 邂逅
  12. ダンダラボッチ
  13. ゲシュタルト
  14. カルペ・ディエム
  15. 代替嬉々
  16. KAF DISCOTHEQUE
  17. 私の在処
  18. 明滅
  19. 君は水、私は魚
  20. エラーソング
  21. 学園戦線
  22. 乳白の宇宙
  23. 周波数0の合言葉
  24. オーギュメント
  25. 魔法 feat. 理芽
  26. マイディア
  27. 祭壇
  28. 魔女

星鴉、そして理芽——「魔法」という名の奇跡

映像制作会社Eallin Japanの投稿

「魔法」を歌うとき、花譜はあの衣装をまとっていた。

「特殊歌唱用形態 星鴉」。1stワンマン「不可解」で初めて世に現れ、クラウドファンディングによってファンと共に生み出された、花譜にとって原点とも呼べる衣装だ。今回登場したのはその2026バージョン——7年分の成長に合わせて仕立て直された星鴉は、あの頃の少女の面影を残しながら、今の花譜をまとっていた。あの頃の花譜に、また会えたような気がした。

そしてその「魔法」という曲自体が、特別な意味を持つ。

花譜が1人で神椿スタジオを背負ってきた時間があった。その場所に、後から入ってきたのが理芽だ。どちらかといえば姉御肌の理芽が、年下の花譜の後輩として現れた——この関係性の妙が、2人の空気にはずっと漂っている。慣れない頃の2人のMCは、たどたどしく、不慣れで、それでいて絞り出す言葉が丁寧に紡がれていくようで、見ていてとても愛おしかった。1人だった活動が、1人じゃなくなるワクワクとした期待、言葉にしにくい寂しさからの解放のようなものが、あの頃の2人の間にはあったはずだ。

「魔法」はそんな2人にとって、特別な曲だ。

だから、スペシャルシークレットゲストとして理芽が姿を現したとき——会場の空気が、一瞬で変わった。感無量という言葉しか出てこない。前日のV.W.Pの余韻もまだ残る中で、星鴉をまとった花譜と、理芽が、同じステージに立つ。それがどれほどの景色だったか。

デビュー当時のMCや2人の対話は、過去のアーカイブや配信で今も見ることができる。ぜひ、そちらもたどってみてほしい。(私は理芽の歌も大大大好きだ。音楽の魅力をいつも思い出させてくれる。)

そして本公演では、もう一つの衣装も初披露された。新たな「第六形態 梟(ふくろう)(黒)」。星鴉が花譜の原点を象徴するとすれば、梟は今の、そしてこれからの花譜を纏う衣装だ。過去と現在が、同じステージの上に並んだ夜だった。

「まほう feat.理芽」【オリジナルMV「不可解弐Q1」Live Ver.】

生の謳歌、儚いものたちへの愛

花譜の歌声は、儚く、切なく、危うげで、それでいて力強く、ミステリアスだ。カンザキイオリをはじめとするアーティストたちとの相乗効果が、その世界をさらに深くする。

生きること自体の尊さ、儚さ、不安定さ——花譜はそれを全部含めて、達観したように、しかし優しく、こちらに投げかけてくれる。「私もまだ生きるし、歌い続けるから」と。

2日間、立ち続けて、声を出して、愛を叫んで、返事ももらえた気がした。

この時代は苦しい。もちろん、楽な時代などないのだろう。生きることは、苦しみや悲しみを伴う。それでも、花譜たちと同じ時間と場所、この地球に生まれたことは、幸いでしかない。

アーカイブ情報 見逃した方も、もう一度「宿声 / 深愛」に浸りたい方も

今回の花譜の5thワンマンライブ「宿声 / 深愛」は、Z-aNにてアーカイブ付き配信チケットを販売中だ。

さらにDAY1のV.W.P4thワンマンライブ「現象Ⅳ-反転運命-」のアーカイブも配信中だ。

本公演のアーカイブ配信は以下より視聴できます。
花譜 5th ONE-MAN LIVE「宿声 / 深愛」アーカイブ

アーカイブ配信期間:ライブ配信終了後 – 2026年4月6日(月) 23:59まで 

ライブを彩った、さらなる発表たち

公演内では、複数のインフォメーションも発表された。

ライブで初披露された新曲「エラーソング」は、専門学校HAL(東京・大阪・名古屋)のTVCMタイアップに決定。CMの詳細は2026年3月23日(月)に解禁予定で、楽曲の配信も近日予定されている。

また、花譜の世界各地でのライブ開催が予告された。国内にとどまらない展開が、いよいよ具体的に動き始めている。

そして、様々なアーティストとのコラボレーション企画「組曲2」の第九弾として、花譜×神聖かまってちゃんのコラボが今春リリース予定であることも明かされた。

「奇跡は地続き、ぼくらの現在地〜花譜展5〜」 タワーレコード渋谷店にて開催!!

花譜の5度目となる展示イベント「奇跡は地続き、ぼくらの現在地〜花譜展5〜」が、2026年3月20日(金・祝)〜4月5日(日)まで、タワーレコード渋谷店2階 TOWER SPACE SHIBUYAで開催。

2019年に開催された、花譜展ver.1.5キービジュアル。夜の都会に佇む花譜。

2019年に開催された花譜展のキービジュアル。花譜の成長を感じる…。

5thアルバム「深愛」と小説『カミュの歌鳥 花譜小説集』

さらに、本公演のタイトルにも冠された5thアルバム「深愛」が現在予約受付中だ。
アルバムと小説が交差して生まれたプロジェクトとして、小説『カミュの歌鳥 花譜小説集』と共に2026年5/27(水)にリリースされる。

『カミュの歌鳥 花譜小説集』

著者:中村 紬

定価:1,870円(本体1,700円+税)

発売日:2026年5月27日(水)予定 ※電子書籍同時配信予定

体裁:四六判並製/288頁

装丁:大原由衣

装画:PALOW.

ISBN:978-4-04-117219-3

発行:株式会社KADOKAWA

中村 紬(なかむら つむぎ)

東京都在住。ライター、編集者として活動しながら、精力的に執筆活動を行い、WEBを中心に活躍。

他の作品に『クロスの行方 ―DUSTCELL小説集―』がある。

詳細・購入は公式特設サイト https://kaf.kamitsubaki.jp/transcendent-love/
5thアルバム「深愛」オンラインショップから。→ findmestore.thinkr.jp

ライブグッズの受注販売と在庫販売も展開

またね、花譜

花譜の歌は、私の生きがいだ。聴くたびに、はっとさせられる。気づかされる。

お前も表現者だろう、と。小さい頃の夢を、歳のせいにして、環境のせいにして、ふてくされて諦めていないか、と。理由を見つけて逃げるな。己を否定するな、と。

私は花譜たちとともに歩んできた。彼女たちの成長を目の当たりにしながら、自分もまた諦めずに、立ち向かい、切り開いていかなくてはと、繰り返し思い知らされてきた。花譜の歌は、すぐに答えを出さなくていい、と教えてくれる。それでいい、とも。だからこそ、消化しきれないものを抱えたまま帰る今夜も、悪くないと思えるのだ。

救われているよ。ありがとう。愛しているよ。またね、花譜。

花譜とは何者か

花譜「宿声 / 深愛」公演ビジュアル(©KAMITSUBAKI STUDIO)

花譜(KAF)

神椿スタジオの「始まり」を象徴するバーチャルシンガー。2018年、当時14歳でデビュー。素顔を明かさず、3Dアバターで活動を続けながら、唯一無二の歌声と世界観を持つアーティスト像を確立した。メインコンポーザー・カンザキイオリとの楽曲は高い評価を受け、2022年には日本武道館でのワンマンライブを開催。2024年1月には代々木第一体育館での4thワンマン「怪歌」を成功させ、バーチャルシンガー単独公演として最大規模を更新。現在YouTubeの登録者数100万人、総再生回数3億回を突破している。次世代のアーティスト活動のスタンダードとして、バーチャルとリアルの垣根を越えるべく奮闘中だ。

神椿スタジオ(KAMITSUBAKI STUDIO)

次世代のクリエイター達と共にネットカルチャーの最先端を産み出すクリエイティブレーベルであり、新時代のアーティストマネジメント事業を展開。アーティストの発掘や開発を行うマネジメントスタッフとYouTubeやSNSの運用ノウハウを持ったマーケティングスタッフなどからなる運営体制を作り上げている。

▼公演特設サイト
KAF 5th ONE-MAN LIVE「宿声 / 深愛」
https://yokohamawars2026.kamitsubaki.jp/kaf

V.W.P 4th ONE-MAN LIVE「現象Ⅳ-反転運命-」告知ビジュアル

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Taro Okazaki
「Guidoor Media」の立ち上げに携わり、日本の文化・歴史・観光を中心に執筆。オーストラリアでの出版社や教育機関での勤務経験を経て培った国際的な視点を活かし、日本の多様な魅力を国内外に発信しています。 文章では、地域の魅力を分かりやすく伝えることを心がけ、アートでは感情や記憶を色彩と形で表現しています。 趣味はVtuber、アニメ、音楽など。日々の好きなものが創作の原動力になっています。