日本の鉄道で人身事故を防ぐ切り札!それが『ホームドア』

ホームドアが設置されている新幹線の駅

日本の鉄道は、世界的に高い安全性と正確さで称賛されています。しかし、人身事故は依然として深刻な課題となっています。

そこで注目されているのが『ホームドア』です。

ホームドアは、鉄道各駅で人身事故を劇的に減らすための重要な施策として広く導入されています。

この記事では、ホームドアの役割や効果、最新の普及状況について詳しく紹介します。
日本の鉄道で人身事故を防ぐ切り札となるホームドアの魅力に迫りましょう。

増え続ける鉄道の「人身事故」ホームドアを設置し安全性を高めよう

東京都内では二日に一度ぐらいのペースで「人身事故」の影響による電車の遅れに直面します。

実はつい最近まで、人身事故の原因はすべて飛び込み自殺だと勘違いしていました。

皆さんの中にもそういう方は多いと思います。

ながらスマホをする人々

しかし実際には、人身事故というのは飛び込み自殺だけではなくホームからの転落や電車との接触も含まれています。

むしろ、このホームからの転落事故や電車との接触事故のほうが多いという状況になっています。

転落・接触事故が増えている背景には、携帯、スマホ、ゲーム等のモバイル機器の普及もあるようです。

携帯電話で話している程度ならいいですが、歩きながらスマホでTwitterを夢中で見ていたり、ゲームをやっている姿は、はたから見てもかなり危うい行為だと思います。

本当に危険なのは駅のホーム!?ホームドアで転落防止を

ホームドアのない鉄道の駅

そしてさらに、ホームからの転落・接触という問題が深刻なのは視覚障碍者の方々です。

「欄干のない橋」と例えられるほど、駅のプラットホーム上は視覚障碍者にとってとても危険な場所となっているのです。

実際、とあるアンケート結果では視覚障碍者の4割がホームからの「転落」を経験したと答えています。

中には複数回経験しているという人もいます。

こういった状況の中、人身事故を防ぐための切り札が最近鉄道各駅に設置されつつある『ホームドア』です。

ホームからの転落や列車との接触事故防止などの安全対策として、プラットホームを壁で囲い、ドアを取りつけて、列車の乗降に合わせて開閉させるものを一般的にホームドアと呼んでいます。

ホームドアの歴史は古く、日本においては1981年開業の新交通システム「神戸ポートライナー」が初めてです。

また、鉄道においては、新幹線の新横浜・熱海・新神戸の3駅が通過列車対策として可動式のホーム柵を設置しました。より身近な鉄道の例としては、1991年の営団地下鉄(当時)の南北線が最初となります。

2つのタイプのホームドアで人身事故対策

2つのタイプのホームドア「フルスクリーンタイプ」と「可動式ホーム柵」

ホームドアには大きく分けて2つのタイプが存在します。

東京メトロ南北線や「ゆりかもめ」等のように天井近くまでを覆った「フルスクリーンタイプ」と、JR山手線など屋外のホームによく見られる腰の高さぐらいのタイプの「可動式ホーム柵」の2種類です。

それらは、ホームの構造や列車の車両編成の違いに応じて使い分けられています。

より安全性を目指したホームドア「フルスクリーンタイプ」

駅に設置されたフルスクリーンタイプのホームドア

「フルスクリーンタイプ」は天井までを完全にホームを覆うことができるホームドアです。

ホームを密閉することにより、線路への突き落とし事件や飛び込み自殺に対する抑止効果は大きいといわれています。

しかし、導入するには高額の費用がかかり、すでにある路線ではホーム上部に必ず屋根などの構造物があるとは限らず、それに加え、比較的大きな駅でもホームの先頭・最後尾あたりには屋根すらないということも珍しくないので、既存ホームに後から設置する場合は、屋根やホームの強度の問題から困難を要します。

そのため、各鉄道会社はこのフルスクリーンタイプの導入には極めて消極的です。

したがって、フルスクリーンタイプは新規の路線、特に新交通システムで導入されるケースにほぼ限られています。

1990年代に新規に開業した地下鉄である東京メトロ南北線はこのタイプが採用されましたが、2000年代以降に新規に開業した地下鉄では採用例が無いというのが現状です。

さらに、ホームを密閉することで、地下鉄の駅では列車の進入時の風を防いだり冷暖房の空調効率を高めることにも役立っています。

設置コストがリーズナブルなホームドア「可動式ホーム柵」

駅に設置されている可動式ホーム柵

最近、あちこちの駅のホーム上で見かけるようになってきたのが「可動式ホーム柵」です。一般的に、ホームドアという言葉を聞いたらこちらのタイプを思い浮かべるのではないでしょうか。

車両ドア部分に設けられた可動式のホーム柵が、列車の車両のドアと連動して開閉することにより、ホーム上の乗客と進入する列車とを安全に分けています。高さはだいたい人の腰の高さぐらいです。

フルスクリーンタイプよりも安く導入できることから、建設費を安くしたい新規路線や、元々ホームドアを設置していなかった既存路線のワンマン運転化や安全対策により導入される場合が多く見られます。

ホームからの転落防止・車両との接触防止には一定の効果がありますが、上部があいているために、意図的な乗り越えや身を乗り出すことまでは防止できないのが難点ではあります。

しかし抑止効果は完全ではないとはいえ、ホーム柵を越えるのにはそれなりの身体能力や道具が必要なので、衝動的な自殺や酔った客の線路への転落防止などには高い効果が見込まれます。

事故防止だけじゃない!? ホームドアの設置をオススメするこれだけの理由

ホームドアが設置されている日本の鉄道の駅

このように、ホームドアは乗客の人身事故を防ぐことがその第一の目的ですが、実はほかにもメリットがあります。

  • 冷暖房効率の向上
  • 事故が少なくなるので正常なダイヤを保ちやすい
  • 運転士の安心感もかなり上がり、ホーム進入時の精神的なストレスから解放される

などなど…

ホーム上での「万が一」から命を守ってくれるのがホームドアです。

さらに安全に安心して利用できる鉄道となるために、より一層、その設置・導入が促進されることを望みます。

3件のコメント

本当にホームドア増やしてください! ホームドアないといつ飛び込んでしまうかわからない精神障害なので。特に関東に住んでいますが、小田急や京王には怖くてとても乗れません。東急は6ドア車を潰して廃車にしてまでも、各事業者に先立って4線全駅にホームドアを設置してくれたヒーロー! 東急利用してます。

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