『元祖 嶋田家』深大寺そばの元祖が語る歴史と魅力/深大寺そば巡りインタビュー

元祖嶋田屋の「深大寺そば」と揚げたて天ぷら

「深大寺そば」の名店を巡るインタビューシリーズ!そば好きのGuidoor Media(ガイドアメディア)編集部が調布深大寺周辺の深大寺そば屋を巡り、「深大寺そば」の魅力を探りました。

今回は深大寺山門前にある、深大寺随一の老舗そば店、『元祖 嶋田家』さんにお話を伺います。『元祖 嶋田家』さんは文久年間創業、まさにその名の通り元祖たる深大寺そば店です。

深大寺の土地と共に育ち、「おそばは、1日1食食べれば100歳まで生きられる健康食!」と話す元祖嶋田家5代目店主。これほどまでに多くの人に愛され続けている「深大寺そば」の魅力やルーツについて語っていただきました。

深大寺随一の老舗深大寺そばのお店「元祖嶋田家」

『元祖 嶋田家』と深大寺そばの歴史

インタビューに応える嶋田家5代目ご主人

元祖 嶋田家さん:『元祖 嶋田家』の創業は文久年間、1861年ごろですね。近藤勇が将軍と上洛して京都に行った、その頃なんですよ。私が5代目になります。

私が30代の頃は、デパートなどにも出店したり、立ち食い蕎麦のスタンドなどもやっていました。

その当時の東京都内でも一番親しまれている「そば」といえば「深大寺そば」でした。しかし実は、それでも人気はそばより、うどんだったんです。

そんな状況でも、そばで商売をしはじめ、大盛況でした。デパートの閉店時間間際にやっと看板を下ろすような感じでしたね。

それだけ東京都民に「深大寺そば」は非常に親しまれていました。

移りゆく「深大寺」とともに歩んできた『元祖 嶋田家』

元祖 嶋田家さん:長く親しまれ続けている深大寺そばですが、何度か大きな転機となる時期がありました。戦後になって、京王電鉄が「金子駅」という駅名を「つつじヶ丘」というおしゃれな駅名に変えたんですよ。

「つつじヶ丘」周辺地域をアベックコース、ハイキングコースとして売り出したんですね。

「つつじヶ丘」は、武蔵野自然公園、深大寺へ歩いていけます。近藤勇のお墓がある龍源寺や、三鷹の東京天文台もありますし、沢があり、蛍も見えました。

それが遊園の場として、東京都民に大人気となりました。

まだその当時は深大寺そばのお店は私の親父がやっていた、この『元祖嶋田家』一件だけでした。

そこに今も小川が流れていますが、当時は今より20〜30倍の水量がありました。

その小川でお客様の目の前で「そば」をさらし、おもてなしをしていました。赤い縁台を並べて、そこで皆さんに「深大寺そば」を召し上がっていただいていました。

深大寺と神代植物公園

嶋田家の深大寺そば

元祖 嶋田家さん:東竜太郎という東京都知事がいまして、この辺に東京都の緑地帯があったんです。

関東大震災の後、東京の緑を育てなくてはいけない。そこで植物公園を作ろうということになり、そのために東京都が広大な土地を買い上げました。

先代も4反ほど畑や栗山などもあったそうですが、周囲の畑などと共にみんな東京都が買い上げちゃったんですね。それで昭和36年ごろ神代植物公園が開園しました。

この昭和30年代を境に、この周辺の農家さんたちはすごく減ってしまいましたね。その影響もあってそば屋を商いとして始める人が増えました。深大寺から土地を借りて、お団子やお土産を売ったりしていたお菓子屋さんなども、「そば」を始め出します。

それから深大寺周辺にそば屋が集積し始めました。

このように深大寺周辺の地は神代植物公園の開園と共に、東京都民の遊園の場として大きくかわっていったのですよ。

神代植物公園も260万人以上の来園者があった時代もありました。今は年間約80万人くらいですかね。

深大寺の魅力「水と緑と寺とそば」

人々が行き交う深大寺の山門付近

元祖 嶋田家さん:その当時、遊園の場として愛された深大寺のキャッチコピー「水と緑と寺とそば」を私が考えました。

これを当時の深大寺ご住職に気に入っていただき、深大寺のキャッチコピーとしても広く使っていただきました。

深大寺周辺は古くから13箇所の湧水がこんこんと湧き出る場でして、今も湧き続けています。

水があって、そこに緑ができる。そして深大寺ができ、最後に「そば」ができたというわけです。

また中央高速ができ、調布インターチェンジができました。そこから車で10分、15分ほどで来られるという利便性もあって、以前は年間約130万人ほどのお客様がお見えになっていましたね。

そうして深大寺は緑に囲まれた、東京都民憩いの遊園の場として成長していったわけです。

今でも夏場に深大寺に来ると都心よりも1〜2度は涼しく感じられますね。何より空気がうまいとお客さんにはよく言っていただきます。

深大寺周辺の雰囲気や、緑は変わってきましたが、今なお変わらぬ美しい水と緑があります。自然と一体の場の中で「おそば」を召し上がっていただく。これが深大寺そばの最大の魅力なんですよ。

都心のビルに囲まれた中で食べる「そば」とはまた格段に違ってきますよね。そして土着の文化としての「深大寺そば」。他ではなく、ここで召し上がっていただくことがとても重要だと思います。

世代が変わっても、深大寺の良さまだまだ広がっていくと思います。時代とともに世間は変わっていく、深大寺も変わっていきます。時代の波に飲まれてしまうのではなく、そこでまた新たな良さも生まれてくると思います。

多くの人に愛されてきた「深大寺そば」

嶋田家の店内から見える深大寺の景色

元祖 嶋田家さん:映画やテレビの撮影も深大寺周辺で多く行われてきました。「鞍馬天狗」から「清水次郎長」なんかも撮影していましたね。

有馬稲子さん、津川雅彦さん、南原宏治さんや、桑野みゆきさんらが出演した、松本清張さん原作の松竹映画、「波の塔」この影響もすごくありましたね。

(【波の塔(なみのとう)】松本清張の長編恋愛ロマン小説。1960年に松竹で映画化された。)

松本清張さんも黒いベンツに乗って散歩がてらよくお越しになられていましたよ。私がまだ小学五年生くらいの頃ですかね。私にも気さくに話しかけてくれていました。

松本清張さんはお越しになられると、1時間くらい散歩して、その後で波の塔を書かれていました。武者小路実篤さんなんかもね。

当時先生方がお越しになると、親父がそばを作り出す。おふくろが火を焚いて湯を沸かし、粉挽きなんかを私と弟で手伝っていました。

親父が打ち立て、茹でたてのそばを深大寺の湧き水、それでさらす。この湧き水を使うことで、そばに強いコシとツルツルとした喉越しが生まれます。それが深大寺そばの特色ですね。

私はそんな移り変わる深大寺を時代と、当時のご縁ある人々と長く接し、見てきました。そんな、いろんな人のおかげで今の深大寺があります。

ここ深大寺で生まれて、深大寺で育ちましたから。深大寺の木は一本残らず登ったんじゃないかな。

ここの嶋田家にある池も、昔は冬には凍っていましてね。その上を歩いて氷が割れて、池に落っこちたりもしましたね。親父にこっぴどく怒られたもんです。

深大寺の自然が育んだ 名物「深大寺そば」

嶋田家の深大寺そば

元祖 嶋田家さん:春夏秋冬通して深大寺は自然が多く本当に素晴らしい土地です。

かつての深大寺の自然、気候、土地があったからこそ深大寺そばはうまい。これほどの名物になったんですね。

深大寺の土はいわゆる黒ボク土と言われる土だったんです。富士山が噴火して、関東ローム層ができ、その上にできた土だと聞いています。(黒ボク土 黒土とも呼ばれる土壌の一つ。他の土壌と比べると有機物の含有量が非常に多い。)

これが深大寺、神代植物公園の土壌となっています。

そこに土地の高低差、寒暖の差があり、靄(もや・かすみ)が降りてくる。かつては、この靄が深大寺そばの花にかかっていました。これがそばの実をまろやかにして、甘みを出してくれ、上質なそばを育ててくれていたんです。

これらの条件が揃っていたからこそ、江戸時代に「深大寺そば」が有名になり、「献上そば」とも言われ珍重され、三代将軍家光にも賞賛された理由ですね。

深大寺の自然があったからこそ上質のそば粉ができ、そして湧き水を使って「さらし水」にしたことで、コシとつるつるとした喉越しの「深大寺そば」となったわけです。

これが深大寺そばの特色なんですね。

今も深大寺のそば店はみな勉強し、それぞれ創意工夫しながら最高のそばを出せるよう各店がんばっています。それが深大寺そば店の良いところです。

そうした各店の努力といろんな人たちの協力のおかげで、「深大寺そば」は今も変わらずこれだけ多くの人に愛されているんです。

私はよく「おそばは、1日1食食べれば100歳まで生きられる健康食!」だと広めています。ぜひ皆さんにも美味しいおそばを毎日食べて、健康に過ごしてもらいたいと願っています。

元祖 嶋田家 アクセスと店舗情報

嶋田家の看板

住所  :東京都調布市深大寺元町5-12-10
電話  :042-482-3578
営業時間:10:00~16:30
定休日 :月曜日 (祝日の場合は翌日振替)
駐車場 :なし(但し、大型バスの契約先駐車場で可)
ペット :店内不可 ※お繋ぎする場所あり
ウェブサイト:元祖嶋田家

深大寺そばマップ 元祖 嶋田家

『元祖 嶋田家』詳細情報はこちら
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