西条の日本酒でほろ酔い 広島のSAKEの魅力を徹底研究

日本酒
東広島_酒蔵
写真提供:広島県

風に乗って、街全体がほのかに酒の匂い香る広島県東広島市西条

350年以上の歴史を絶やさず日本酒造りが盛んなこの町は、かつて酒米を蒸す工程で使用していた煙突が並び、情緒あふれる景色が広がります。

今回はそんな酒造りの街「西条」を一緒に旅してみましょう。

日本酒のテーマパーク安芸西条で大人な一日

今では「SAKE」として、海外でも広く親しまれている日本酒。

そんな日本酒を長い歴史の中で醸造し続け、人々に愛され続けている西条。

一体どんな街なのでしょうか…この街の魅力をたっぷり皆さんにご紹介します。

日本酒香るレトロな街を歩く

西条酒蔵通り0

写真提供:広島県

西条は酒造の白壁やなまこ壁(土蔵などに用いられる、日本伝統の壁塗りの様式の一つ。壁面に平瓦を並べて貼り、瓦の目地(継ぎ目)に漆喰を蒲鉾形に盛り付けて塗る工法によるもの。目地の盛り上がった形がナマコに似ていることからその名が付く。)や酒造のシンボルともいえる赤レンガの煙突が青空に映える独特の雰囲気を纏った街。

三大銘醸地として兵庫の灘や京都の伏見に並び、現在は9社の蔵元が軒を連ね、杜氏たちの仕事唄が聞こえてくるような活気に溢れています。

 

東広島市 西条の町並み 3

写真提供:広島県

そんな西条へのアクセスをまずはチェック。

・広島空港からJR西条駅

2019年10月29日から運行開始した西条エアポートリムジン(高速バス)で約25分。大人片道660円。

・JR広島駅からJR西条駅

JR山陽本線で約40分。大人片道590円。(現金優先)

西条に着いたら早速酒造の街をぶらぶら歩いて探索してみましょう。

 

東広島市 西条の町並み 1
写真提供:広島県

友人や家族と個人的に回るのも、もちろん楽しいですが筆者があえておススメするのは、毎月10日無料でボランティアガイドの方が2~3軒の酒造を案内してくださる「酒造のまちてくてくガイド」です。

ガイドさんだからこそ知っている西条の歴史や情報は、旅をさらに充実したものに変えてくれるはず。

また10日以外にも有料でボランティアガイドの方が案内してくださるので、ぜひ一度申し込んでみてください。

酒蔵のまちてくてくガイド

実施日:毎月10日
受付場所:東広島市観光案内所(JR山陽本線 西条駅 2階)
受付時間:10時~11時(随時スタート)
参加費:無料

10日以外
有料で事前に予約が必要。(希望日の1週間前まで)・料金は20名まで 2,000円、5名まで 1,000円。

問い合わせ先
西条酒蔵通り観光案内所(東広島ボランティアガイドの会)
住所:広島市西条本町17-1
TEL: 082-421-2511

酒造りの軌跡 西条の歴史を辿る

白いおちょこ
参照:ODAN

西条の酒造りの起源は1675年。

関ヶ原の戦いに敗れた戦国武将島左近の次男彦太郎忠正が、敗戦の悲報を聞き西走して安芸国西条にとどまり、その孫である六郎兵衛晴正が「延宝3年酒造業を創む」と文献には記されています。

それまで日本酒は農耕神への供え物として存在し、今のように所かまわず飲むものではありませんでしたが、17世紀に入ると酒造りが各地で盛んになり、嗜好品としての「酒」が広まっていくこととなりました。

 

日本酒

dronepc55さんによる写真ACからの写真

日本酒は寒い季節に造られたものほどおいしいと言われているのをご存知でしょうか。

寒の時期に造られた酒は醪[もろみ]の温度が低く保たれるので、醗酵が緩やかで喉ごしまろやかな風味になります。

この「寒造り」に西条の気候は最適でした。

また西条には気候だけでなく、美味しい酒に必要な米と水も整っていたのです。

 

山々

dronepc55さんによる写真ACからの写真

そんな立地や風土、酒造りに欠かせないまろやかな水と旨い米に恵まれた西条のお酒が前述した三大銘醸地として名を馳せるようになったのは時を経た、明治の中頃に入ってからでした。

安芸津の街の酒造家で「吟醸酒の父」とも呼ばれる三浦仙三郎が生み出した「吟醸造り」が全国へ杜氏たちによって広まっていったことがきっかけです。

ここで筆者が気になったのは下記の記事で同じ広島の竹原市の酒造りに触れた際、水に苦労をして酒造りを行ったという歴史があったにもかかわらず、同じ広島の西条は酒造りにぴったりの水質だったというのは真実なのか??という点です。

日本のウィスキーの父竹鶴政孝の生誕地 広島県竹原市でぶらり旅

水

参照:ODAN

実際に西条の水について調べていくと、驚くべき事実と酒造りの苦労が隠されていました。

元々西条の水も酒造りには適さない軟水で、仙三郎の酒造りは前途多難な中、どうにか軟水で美味い酒がつくれないものか一から研究したようです。

軟水では麹の餌が少なく発酵しづらいため、できるだけ麹を育てて米の糖化も進めることにより、発酵を促すばかりでなく米の豊潤な味わいと濃厚な香りを放つ酒を生み出すことに成功したのです。

 

日本酒

torayukiさんによる写真ACからの写真

逆境を乗り越え、軟水というデメリットを逆にメリットに変えて全国に知られる酒処となった西条のサクセスストーリーを知ると、広島のお酒をもっと美味しく感じられるのではないでしょうか。

そしてこの歴史は同じ広島の竹原の酒造りにも通ずるものがあったということも大きな発見です。

最初からすべての条件が揃っていての「ものづくり」というのはなかなかないものだということを思い知らされただけでなく、さらに日本酒の深い世界を探求したくなる興味を引き出してくれるのが西条の酒なのです。

 

日本酒を思いっきり堪能 酒造巡り

日本酒のペアリング
きなこもちさんによる写真ACからの写真

最近では日本酒の魅力が再認識され、和食との組み合わせだけでなくおしゃれなフレンチやイタリアンとの相性も良いことからたくさんの方々に愛されています。

日本酒との「マリアージュ」や「ペアリング」という言葉を耳にする方も多いのではないでしょうか。

せっかくなので酒造巡りをもっと楽しんで頂くために、この二つの言葉の意味を改めてチェックしておきましょう。

マリアージュ
ワイン用語で料理とワインとの組み合わせや相性を表す。語源はフランス語のマリアージュ=結婚。

ペアリング
お酒のと相性の良い食材や料理との組み合わせ。

2つの語の違い
マリアージュは、「新たな味(第三の味)が生まれる」という意味なのに対し、ペアリングは新たなというよりも、あくまでも相性の良い組み合わせという意味。
日本酒と食材との組み合わせはペアリングという言葉が良く使われていますが、チーズ×日本酒や洋食×日本酒etc…
近年では日本酒と今までにない食材を組み合わせて第三の味を楽しむこともできることから、マリアージュという言葉はワインやビールだけでなく日本酒にも使われるようになってきています。

酒造MAP

筆者作成 酒造位置MAP

酒造りの街西条の予備知識と日本酒について頭に入れたところで、早速西条の酒造を回ってみましょう!

今回は西条の10銘柄の内、駅に近い6銘柄の酒造を訪ねていこうと思います。

酒に飲まれない程度に思いっきり試飲も楽しみながら西条の街を堪能してください。

賀茂鶴酒造株式会社

東広島_酒蔵・賀茂鶴
写真提供:広島県

まず一軒目は江戸時代初期に醸造業を始め、明治時代から先進的精米技術を取り入れながら市販酒としていち早く大吟醸造りの酒を販売したパイオニア的存在「賀茂鶴酒造」です。

1873年に酒銘を『賀茂鶴』と命名し、1917年には全国酒類品評会で初の名誉賞を受賞しています。

巧みな技術を兼ね備えた杜氏による手造りであると共に素材を最大限に生かした酒造りは創業100年の歴史を誇る老舗の風格を感じさせます。

特製ゴールド賀茂鶴

引用:賀茂鶴酒造株式会社 公式HP

こちらで筆者がおすすめするのは酒造を代表するロングセラー商品「特製ゴールド賀茂鶴」。

フルーティーですっきり爽やかな味わいと共に桜の花びら型金箔が入っている見た目の美しさにもうっとりします。

また見学室では酒造りの解説動画や酒造りの道具などの展示、試飲や買い物も楽しめるので、まるでテーマパークのように酒の世界を楽しめます。

賀茂鶴酒造株式会社

住所:広島県東広島市西条本町4番31号
TEL:0120-422-212(082-431-0001)
営業時間:9:00~16:30(入館は16:00まで)
利用料金:無料
休業日:お盆・年末年始・その他 酒まつり前など臨時休業あり
https://www.kamotsuru.jp/

亀齢酒造株式会社

東広島_亀齢
写真提供:広島県

続いてご紹介するのは1917年全国清酒品評会で「月桂冠」「賀茂鶴」とともに初代名誉賞を受賞した老舗の酒造「亀齢酒造」です。

酒は百薬の長と言われていますが、その酒を口にすることで亀のごとく長生きすることを願って「亀齢」と名付けられました。

甘口が主流の広島の酒の中では、きりっと辛口でのど越しを重視してつくられています。

 

亀齢酒造

引用:亀齢酒造株式会社 公式Facebook

広島県産の酒造好適米をふんだんに使用し、蔵の伝統を受け継ぎながら手作りで醸造された酒は、全国の日本酒ファンを着実に増やし魅了しています。

日本酒を使ったオリジナル商品「醸華町うどん」や「美肌石鹸」も人気なので、ぜひお土産に検討してみてくださいね。

亀齢酒造株式会社

住所:東広島市西条本町8-18
TEL:082-422-2171
https://kireikireikirei.jimdo.com/会社概要/

福美人酒造株式会社

福美人 大吟醸

引用:福美人 公式Facebook

さて次は、酒造業者有志の出資により、全国で初めて法人組織の蔵として創業した「福美人」へ。

創業当初より高い技術力の酒造りで知られ、全国から酒造りを学びに来る人が絶えなかったため、西條酒造学校と呼ばれていた蔵元。

「福美人」の名の通りふくよかでやさしい口あたりの酒は、広島の酒の代名詞である女酒(締まった辛口の酒を男酒といい、柔らかな甘口の酒を女酒という)を代表し、酒の要となる水「美人の井戸」には一般の人もその優しい口当たりの水を求めて汲みに来るそうです。

 

福美人

引用:福美人 公式Facebook

また酒造に訪れたら注目して頂きたいのがこの樽です。

カープファンならすぐにピンとくるかと思いますが、1951年設立間もないカープは正式な後援組織を持っていなかったため資金難に陥り、カープの危機を救おうと市民が球場前に募金箱として酒の四斗樽を置いて、「カープを救え」とお金を投じた伝説の樽です。

酒好きのみならず野球ファンをも惹きつける福美人で福を分けてもらいましょう。

福美人酒造株式会社

住所:広島県東広島市西条本町6-21
TEL:082-423-3148
https://www.fukubijin.co.jp/

白牡丹酒造株式会社

白牡丹

引用:白牡丹株式会社 公式Facebook

さぁ今度は文豪夏目漱石も愛した1675年創業の「白牡丹酒造」へ足を運んでみましょう。

漱石は胃弱だったことで知られていますが、多くは酒がたしなめなくとも白牡丹だけは愛飲していると「白牡丹李白が顔に崩れけり」という句と共に先々代社長島博三への手紙に綴っています。

そんな白牡丹は、石田三成に仕えた智将、島左近の子孫が開いたと言われています。

 

白牡丹

引用:白牡丹株式会社 公式Facebook

酒蔵通りには江戸時代に建造された延宝蔵と天保蔵があります。

天保蔵の試飲コーナーには棟方志功の版画が飾られているので、歴史の深さに思いを馳せながら一杯いかがでしょうか。

一度飲んでみると、上品で後味すっきりな白牡丹の酒に数々の著名人が惚れ込んできた理由がきっとわかるはずです。

白牡丹株式会社

住所:広島県東広島市西条本町15番5号
TEL:082-423-2202
http://www.hakubotan.co.jp/#top

賀茂泉酒造株式会社

東広島_賀茂泉・麹
写真提供:広島県

5軒目は1912年創業の「賀茂泉酒造」。

太平洋戦争中から戦後にかけて深刻な物資不足に伴い、増量目的のアルコール添加をした三増酒が主流となっていた世の中で、日本酒本来の姿を求めて米と米麹だけで醸す純米酒の復活に力を注いだ酒造です。

賀茂泉

引用:賀茂泉 公式Facebook

1971年には当時考えられなかった精米歩合60%の純米吟醸酒を開発し、全国的に賀茂泉酒造の名を広めていきました。

酒造歴61年現役最長老の増田幸夫杜氏が純米醸造を完成させたことでも知られています。

活性炭を使用していない酒は薄い山吹色で、辛口ながら芳醇奥深みのある酒ははツウをもうならせる味わいです。

賀茂泉酒造株式会社

住所:広島県東広島市西条上市町2番4号
TEL:082-423-2118
見学時間:平日AM8:30~12:00・PM1:30~PM5:00
https://www.kamoizumi.co.jp/index.php

山陽鶴酒造株式会社

山陽鶴酒造2

引用:山陽鶴酒造株式会社 公式Facebook

今度は江戸時代後期に創業し、上品で爽やかさが特徴の「山陽鶴酒造」へ。

飲み比べをしてみたい!という人におすすめなのが大吟醸、純米吟醸、おり酒などの180ml瓶が5本組になった「五酒セット」。

一度に酒造自慢のお酒を少しずつ楽しめるので、それぞれの個性を比較しながら楽しんで頂けます。

 

倉凛

引用:山陽鶴酒造株式会社 公式HP

 

また新しい酒造のスタイルとして、蔵元直送のダイニングバーがあるのも山陽鶴酒造ならでは。

名物メニューの「倉凛風美酒鍋」、「ごぼうの唐揚」、「ベーコンとジャガイモの明太子炒め」など、日本酒との最高のペアリングを楽しめますよ。

山陽鶴酒造株式会社

住所:広島県東広島市西条岡町6番9号
TEL:082-423-2055
http://sanyotsuru.jp/

 

まとめ

西条の酒造街歩きはいかがでしたか。

日本酒の美味しさを再発見するとともに、もっと身近に日本酒を楽しんで頂けたら幸いです。

まずは広島西条で日本の「」の魅力を体感してみてください🍶

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Honami
大学卒業後、アパレル企業に就職するも、毎日深夜に声を枯らして帰宅する生活に疑問を感じ、幼少期を過ごしたフランスへ癒しを求め遊学。 自分よりも日本を知る外国人達との出会いで恥を知る。 帰国後はファッション専門学校で広報職を経て、現在に至る。 旅行・ビール・ファッション大好き。 関連する記事