唯一無二のクラフトビール造り/神奈川・BarbaricWORKS 安藤佑一 & 永石卓宏

クラフトビールの魅力のひとつは、マイクロブルワリー(小規模ビール醸造所)ごとに試行錯誤されたレシピと情熱によって生み出される、個性豊かな様々なスタイルのビールとの出会いです。

クラフトビールの祭典「Brewskival 2020 in Tokyo」に参加されたブルワリーへの独占取材第2弾は、湘南・茅ヶ崎を拠点にビール造りを行うBarbaricWORKS(バーバリックワークス)。

「Barbaric」には「原始的・野蛮な」の意味合いがあり、効率化・機械化が重要視される中で、敢えてコストや時間、手間暇をかけて造られるクラフトビールが特徴です。

先人たちの仕事を大切にしながら、カルチャーと食事にそっと寄り添うような、唯一無二のクラフトビールを造り続けているマイクロブルワリーです。

バーバリックワークスのオーナー・安藤佑一 (右:あんどうゆういち)氏と醸造責任者の永石卓宏(左:ながいしたかひろ)氏に、クラフトビール造りへの想いについてお話を伺いました。

「酒造り」を深く掘り下げたことで見えたこと

—クラフトビール造りを始められたキッカケを教えてください。

安藤:結構長くなるけど大丈夫ですか?

永石:めっちゃ長くなるでしょう(笑)?

安藤:僕ら母体が飲食店なんですよ。最初にワインをベースにした飲食店を始めました。そして1年後にすぐ近くにお店を作りました。

「そこで何をやろうかな?」と考えていて、クラフトビールのお店を始めました。その時は国内のクラフトビール生産者のビールを扱っていました。生で10タップやっていました。

そのとき単純に僕が思ったのが「自分たちで造ったら原価が抑えられるじゃん」というのがありました。

そもそも僕はソムリエをやっていたのですが、その中で酒、ワイナリー、醸造などの様々な側面を見てきて「造る」ということに興味を持っていました。

それと会社としての成長ですね。

例えば5年後を見据えて、5年後の僕が「どうありたいのか?会社がどうなっているべきなのか?」を考えました。

5年後に10店舗持っていたとして、自分の仕事ってなんだろうと想像した時に、多分パソコンいじって、人員の手配をしてとかだろうなと。僕は店に立たなくていいけど、それがやりたかった訳ではなくて。

じゃあ、もっと色濃く強くする為には何がいいんだろう?と考えた時に「酒を造ったら、掘り下げられる」と。

そうすると、店舗は2店舗のままでも、商品を掘り下げるということはスタッフの商品知識や経験も上がる。スタッフにとってもただ飲食店で働くのではなくて「醸造所を併設した飲食店」で働けることになる。

この会社にいることでスタッフの知識欲を埋めてくれることが、とてもいいことだと思いましたし、スタッフがここにいる魅力的な理由になると思いました。

また「来店する動機は?」と考えた時に、僕が10年やったとしてずっと右肩上がりで伸びていくわけではない。色々と考えた時に選ばれるためにはオリジナルビールが飲めるというのは強みになると思いました。

原価も下がるし、良いことしかないなと。じゃあ「クラフトビール造りやるか」となりました。

当時は永石がいなかったので、僕が逗子にある「ヨロッコビール」さんに週に1回現場を抜けて修行としてビール工場で働いて、システムの勉強とか、色々な計算をしながら、3年間勉強して作り上げました。

安藤氏が修行し経験を積んだ「ヨロッコビール」
引用:ヨロッコビール 公式Instagram

その間に醸造長を立てなきゃなということで、募集をして来たのが彼(永石氏)です。

準備段階で彼にも僕らがどういう想いでやっているかを知ってもらいたかったので、飲食店の現場で実際に一緒に働いてもらい、それからビール造りの準備をしていきました。

—永石さんが応募してこられたとのことですが、どのようなキッカケだったのでしょうか?

安藤:Facebookです。現代的でしょ(笑)?

僕の会社は基本的に募集をしないんですよ。ただ醸造は特殊な職種じゃないですか。

普段は身近で会えるわけではなく、「やらない?」みたいな感じで声を掛けるでもないので、それでFacebookで募集をしたんです。

彼がそこに応募してきた1人なんですが、一番年齢も近いし、頭が柔らかそうだと思ったので決めた感じですかね。それからずっと一緒にやってます。

面倒なことこそ手間を掛けて追求するクラフトビール造り

—ビール造りを通して、おふたりは苦楽を共にしてきたかと思いますが、ビール造りで大事にされていることを教えてください。

永石:大切って言うかあれじゃない?僕らの「Barbaric(バーバリック)」って「野蛮な」とか「原始的な」って意味合いがあるんですが、やっぱり原料もなるべくローカルなものを使う。フルーツなどもホールのままで。ホップも加工されたものではなく、ただ乾燥させただけのものを使うとか。

定番ラインナップのひとつの「ホイッスルソング」の仕込みの様子
引用:バーバリックワークス 公式Instagram

安藤:使う原材料に対しての仕事をなるべくシンプルにしようと。それが僕らのビールなのかな。手数は増やす、面倒くさいこともやる。扱っているものは植物じゃないですか。あまりいじらない状態で発酵させる、というのが僕らのやり方。

イベントでも提供された「ホイッスルソング」

—管理や作る工程が多く手間も掛かるので、気も遣うことが多そうですね?

安藤:そうですね。手間が掛かります。気を遣うのはどのブルワーでも一緒だと思うんですけど、僕らが違うところは面倒くさいこと敢えてやっている。ひたすら時間も掛かるので、他の人からしたら時間の無駄遣いと言われるようなことをやっている。それが僕らの売りなのかもしれませんね。

商品へのラベル貼りも手作業で行う
引用:バーバリックワークス 公式Instagram

—今後目指していること、チャレンジされていることがあれば教えてください。

永石:「バレルエイジ※」とかですかね。

※ビールをバレル(木樽)で熟成させる手法。国内ではまだ認知度が低く、醸造するブルワリーも限られる。

安藤:「バレルエイジ」や今までやったことのないスタイルとか。

そのスタイルの中でも無限に広がってくるんですけど、流行を追いかけるのではなくて、今、僕らが興味持っていることをどんどん追求していこうと思っています。

フルーツの農家さんが多いのでフルーツを使ったものや、もともと僕がソムリエというのもあってワイン樽を使ったものに力を入れていきたいなと考えています。それがひとつのチャレンジですかね。

みずみずしい藤稔(ふじみのり)
引用:バーバリックワークス 公式Instagram

—新しいお客さんに飲んでもらいたいオススメの一杯を教えてください。

安藤:好きなもの飲んでください(笑)

永石:(笑)

安藤:好きなのを美味しく飲んでもらうのが一番。「オススメはなんですか」と言われると困るんですよ。全部ですよって(笑)

どれもオススメのラインナップ
引用:バーバリックワークス 公式Instagram

Photo by Reiko Suga

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