「飲み手」を意識したクラフトビールが造りたい/東京・CRAFTROCK BREWING 鈴木諒

クラフトビールの流行により、バラエティ豊かな国産クラフトビールが気軽に楽しめるようになりました。

日本国内でも個性的なスタイルのマイクロブルワリー(小規模なビール醸造所)が活躍しており、クラフトビールの醸造と提供を同じ場所で行っているブルワリーパブも増加しています。

クラフトビールの祭典「Brewskival 2020 in Tokyo」に参加されたブルワリーへの独占インタビュー第3弾は、イベント会場にもなった東京・日本橋にある「CRAFTROCK BREWPUB & LIVE」で醸造長を務めるCRAFTROCK BREWING(クラフトロックブルーイング)の鈴木諒(すずきりょう)氏に、クラフトビール造りへの想いについてお話を伺いました。

クラフトロックブルーイングは、「音楽とクラフトビールのカルチャーを繋げ、ミュージシャンをサポートするビールメーカー」をコンセプトに、品質重視、基本を大切にしたビール造りを大切にしているマイクロブルワリーです。

自分自身がクラフトビールの一番のファン

—クラフトビールの世界に入ったきっかけを教えてください。

鈴木:私の場合はこれを飲んでハッとしたというよりは、たまたま大学が静岡だったんです。静岡には「御殿場高原ビール」という結構大きな会社があるんですが、「はなの舞」というチェーンの居酒屋が大学の駅の近くの前にあり、普通の居酒屋なんですけど、何かしら御殿場高原ビールのクラフトビールが飲める店だったんです。

それがクラフトビールとの初めての出会いでした。そこでラガー以外のビールを知ったのがキッカケですかね。国内のどこかに行った時にお土産になるので、買って飲んでみたりとか、「ビールって色々あるんだな」っていうのを知りました。

引用:御殿場高原ビール グランテーブル 公式Instagram

就職で東京に出てきて、東京で10年前ぐらいにちょこちょこビアバーが増えてて、なにかのキッカケでビアバーに行った時に「ビールって面白いんだな」と思い、色々と飲んでみる機会を増やしていった感じですかね。

東京に出てきてから2年間は会社員をしていて、ずっと「飲み手」側だったんです。

だけど、だんだんと「ビールは面白いな、作りたいな」という想いが出てきました。

ちょうど良いタイミングで、前職の会社が新店舗をオープンすることになり、醸造所もやりたいということになり、そこでビール造りを始めました。3~4年働いて、1年ほど前に「CRAFTROCK」に入ってビール造りをしています。なんだかんだで10年ぐらいこの業界にいます。

自身もクラフトビールのファンだと思いますが、ビール造りで大事にしていることはなんでしょうか?

鈴木:「クリアさ」とか「強烈の味わい」というよりも、何杯も飲みたくなるような味わい。

そうなんだけど、ちゃんと味がする。味がしないから何杯でも飲めるのではなくて、ゴクゴク飲めるし味もしっかりしている、みたいな。クドくないというか、そこのすごくちょうど良い完璧なバランスを意識しています。

なので、個人的にはあまりアルコール度数の高いものは作らなくて、比較的アルコール度数の低いものが多いですね。

今は見ての通り、この醸造所で作ってこの店舗で売って、を基本に考えています。外部に出したりもしているんですけど、缶とか瓶で大量に流通させたいというのは今はやってないです。

今は「定番」といものを敢えて造っていません。「準定番」というものはあるんですが、それも毎回全く同じものではなく、シーズン毎に作っていて、何回か改良を重ねて「完成形」に近づけようとしているものはあります。

サービングタップ直結の為、日々飲めるビールも異なり変化が楽しめる
引用:クラフトロックブルーイング 公式Instagram

新鮮なままクラウラー(ワンウェイボトル)での提供も可能
引用:クラフトロックブルーイング 公式Instagram

—敢えて定番を置かず成長させているんですね。

鈴木:今は遊んだりとか研究する段階ですね。

造ってすぐにここ(店舗)で出せるのが一番の強みなので、そういう意味では色々とやりたい放題やれているので楽しいですね(笑)

クセのあるビールを敢えて飲んでほしい

—今後目指していることやチャレンジしていることは?

鈴木:醸造でいうと、今のクオリティをもう一段階、二段階と上げていきたい。

私自身は「飲み手」から入っているので、微生物や科学的なプロではなく、全然理系じゃなくて、文系なんですよ。

ビール造りは科学の世界なんですね。アメリカとかだと専門的な大学院を出てから、醸造や微生物をしっかり学んでやっている人たちが多いんです。

自分は「クラフトビールが作りたい」という気持ち先行でやっているタイプなので。もちろん勉強は沢山しています。仕事を始めてから10年で結構海外にも行くんですけど、自分は国内外合わせて多分500箇所くらいは醸造所を回ってきています。

実際に世界中の様々なクラフトビールを自分の舌で味わってきた。自分の中で「これが最高だ」っていう味がある。例えば「スタウトならこれ」、「IPAならこれ」と。各スタイル毎に自分の中で「これが最高点」だというものがある。それに自分のビールが「近づくこと」そして「超える」ことが一番の目標としてあります。

会社的にはもっと大きくしていきたいと考えていると思うので、この店舗だけにとどまらず、今後同じような形態でやっていくのか、もっと大きな醸造所でやっていくのか。ここで培った技術とか経験をもとに「定番商品」を作って一般に流通させていくことも今後考えていくのかなとは思っています。社長次第ですけど(笑)

—初めて「CRAFTROCK」を飲むお客様にお勧めしたいビールは?

鈴木:「スード ニンフ」という銘柄ですかね。醸造としてはすごくおもしろい種類になるんですけど。「グレープフルーツの風味のするようなラガーっぽい」ビールなんです。本当はラガーではないんですけど(笑)そこはややこしいので今日は詳しい説明はやめておきます(笑)

イベントでも提供された「スード ニンフ」

別の言い方をすると「ホッピーなラガーっぽい」ビールです。これはすごいオススメです。ちょっと特殊な酵母を使っていて、ラガーは普通13度とか低い温度で発酵させるんですけど、このビールは32度で発酵させています。

普通のエールビールでも20度くらいなので、かなり高い温度で発酵させています。さらにラガーだと普通は23ヶ月貯蔵するんですけど、これは3週間だけです。

温度も高ければ、貯酒の期間も短いビールですね。なおかつ普通のラガーというタイプよりも、アメリカンホップとか、柑橘系のキャラクターをつけています。なので最初に言ったような、スッキリしていて飲みやすくて、バランス感も良くて、キャラクターがしっかりしている。味もしっかりしている、そんなクラフトビールです。

スード(Pseudo)とは「偽の」や「フェイク」という意味合いをもつ
引用:クラフトロックブルーイング 公式Instagram

Photo by Reiko Suga

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